2016/09/17

鹿野川ダム


鹿野川(かのがわ)ダム
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Ver.1

愛媛県にある、大改造工事の真っ最中な鹿野川ダムに来ました。
鹿野川ダムのある肱川(ひじかわ)は、愛媛県最大の河川で、本川に流れ込む支川の数はなんと474本。これは日本国内では第5位の数。沢山の川が合流する上に、河口近くは川幅が狭い特徴があり、洪水の時には河口まで流れきることが出来ず、氾濫してしまうことがよく有ったのだそうです。
昭和18年、20年の洪水をきっかけにダム建設が計画され、鹿野川ダムは昭和35年に完成しました。

こちらも「四国堰堤ダム88箇所巡り(※1)」の札所なので、まずははんこセット持って管理所へ。ハンコとダムカードとパンフレットとクリアファイル頂きました。ありがとうございましたヽ(=´▽`=)ノ
※1:「四国堰堤ダム88箇所巡り」については公式サイトで詳しくご紹介されていますので、興味を持たれた方は是非チェックしてみて下さいね☆

管理所から更に進んで堤体へ。左岸寄りなところで利水放流がチラ見えヽ(=´▽`=)ノ

そしてダム湖側をみやると大きな足場が。あそこに「穴」があるんだなー。

……「穴」とは。
鹿野川ダムでは平成16年に肱川水系河川整備計画(中下流圏域)に基づいて、改造事業を推進中です。この改造事業で、鹿野川ダムの洪水調節機能を強化することになり、現状の1.4倍の洪水調節が行えるようになります。

ダムにはそれぞれ、洪水調節を行うダムであれば、洪水調節を開始する水位であるとか、流量であるとかすべてルールが定められているのですが、この改造事業で、これまで発電用に割り当てていた容量を洪水調節に振り替える等して洪水調節機能を強化した結果、洪水調節を開始する水位がEL81.0mからEL76.3m(※2)へ引き下げられることになりました。
※2:EL=標高。東京湾の平均海面を基準にした土地の高さ。実際は国会前庭に設置されている日本水準原点(標高243,900m)を基準点にして測位しているとのこと。

洪水調節容量増加の説明図(山鳥坂ダム工事事務所ホームページより)
降水調節開始の水位が下がったことで、洪水の時に扱える水の量がぐっと増える(∩´∀`)∩ワーイ …んだけど、一つ問題が出てきました。

洪水調節容量増加の説明図に加筆(黄色部分)
鹿野川ダムの洪水吐ゲートはEL76.0mの位置にあります。洪水調節開始水位がEL76.3mに引き下げられても、ゲートの位置は動かせません。説明図にちょっと色を塗ってみました。洪水調節開始水位からゲートを開けた場合の水の量のイメージつくかな?
洪水調節開始水位に到達したとしても、必要な量の放流が行えないことになるため、新しい放流路として「トンネル洪水吐」を作ることに。

トンネル洪水吐の呑み口は、ダム湖の中、EL53.0の位置に作られ、鹿野川ダム下流で浸水被害を起こさない放流量600m3/sの放流が可能な設計となっているそうです。で、そこから右岸側の山ん中を通って下流へだばぁ、という形になる模様。

で、話長くなりましたが、そのトンネル洪水吐の呑み口のところに作られた立坑を「穴」と呼んでいます。(GoogleMapでバッチリ立坑映ってて嬉しいw(∩´∀`)∩)

もうトンネルは貫通していて、仕上げの段階に入っています。今までの進捗については、鹿野川ダムの改造工事を行っている山鳥坂ダム工事事務所のホームページで詳しく紹介されていますので、是非ご覧ください。

天端からトンネル洪水吐の吐口を望む。運用始まったらあっち側から出ていくのがメインになるのかな…?

…とここまで話しておいてアレですが、訪問日は土曜日で。平日ならば事前予約しておけば見学の機会もあったんだけど、タイミング合わなかったのでトンネル洪水吐の工事の様子は遠目に眺めるに留まってます。
平日の予約での見学の他に、定期的に見学会等も実施されているようなので、気になる方はホームページ等をこまめにチェックすることをおすすめします。

さて、改造事業はトンネル洪水吐だけでなく、他にも行ってまして。

曝気装置の設置も改造事業の一つ。過去にほぼ毎年の勢いでアオコが発生していたとのこと。鹿野川ダムでは5基設置し、ダム湖の水を循環させることで水質の改善を行っています。訪問した日もブクブクお仕事してましたヽ(=´▽`=)ノ

右岸側から左岸側へ天端をテクテク。写真左側に見える足場も改造事業の一つです。

クレーンさんいっぱいヽ(=´▽`=)ノ♪ にょきーん♪ヽ(=´▽`=)ノ とか喜んでたら

この足場で何やってるかの説明パネルが設置されてました。こちらでは選択取水設備の設置工事を行っています。放流する水を取水する位置を任意に選択できることで、温かい水を流したり、洪水後の濁水を避けたりと、下流に流す水の水質改善が見込まれます。(๑•̀ㅂ•́)و✧

上流側から眺めた鹿野川ダムさん。選択取水設備棟がよく見えましたヽ(=´▽`=)ノ

天端から下流側を望む。白い四角い建屋は愛媛県の肱川発電所。利水放流の水しぶきで虹が出てました♪

左岸側まで渡りきってから鹿野川ダムさんを愛でる。ガッツリ組まれた足場がこれまた印象に残ります。

更に下流側へ移動してみました。訪問日はお天気もよく、青空と木々の緑、そして利水放流の水しぶき。そこに混じる工事現場の機械の音。まさに今、新しいステージに向けて動いている、という感じな鹿野川ダムさんでした。出来れば工事やってる内に、また訪問したいなぁ…。

■DAM-DATA
ダム番号2252
型式直線越流型重力式コンクリートダム
非常用洪水吐テンターゲート×4門
常用洪水吐
低水管理設備スルースバルブ×1門
ダム湖名鹿野川湖(かのがわこ)
所在地愛媛県大洲市肱川町
河川名肱川水系肱川
堤高・堤頂長61m・167.9m
総貯水容量48200千㎥
管理者国土交通省 四国地方建設局
Web
本体着工/完成年1953年/1958年
四国88堰堤第47番堰堤札所
駐車スペース管理所付近、駐車スペースあり
トイレ
おむつスペース
※記載情報は訪問した時点の情報です。状況が変わっていることがありますのでご了承ください。
Location: 鹿野川ダム

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