2013/11/30

土木フアンの集いに参加してきた(後編)

水資源機構さんが「土木フアンの集い」と称した施設見学会を開催するということで参加してきた。

※こちらは見学記の後編になります。見学記の前編をご覧になっていない方は、先にご覧いただけると嬉しいです。


■見学2:コンクリート実験棟

続いて案内頂いたのはコンクリート実験棟。ダム等の建設の際に使われるコンクリートについて、現地の材料を元に色々調査・試験を行う施設。

ここで行っているお仕事についてのパネルが用意されていた。ダムの建設等に使われるコンクリートは、一般のコンクリートと違う。その特別なコンクリートについて、現地の骨材等に合わせた適切な配合比率などを調査・設計していくそうだ。

実際に水資源機構さんで管理されているダムのコンクリートが展示されていた。並べられたことで、ダムによってコンクリートの雰囲気が全然違うこと、作られた時期によって骨材にも変化が出ていることなどがわかった。

で、ここの見学で印象に残ったのは……

コンクリートミキサー!ヽ(=´▽`=)ノ ……なんですが。これは一般の工事現場でも見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれない。このコンクリートミキサーでは骨材の大きいダムコンクリートは作れないので…

ドーン。

回す羽の軸が2本!。一般のコンクリートだと骨材として混ぜられる石の大きさは最大20mm・40mm(骨材最大寸法)となっているそうだが、ダムコンクリートの場合は骨材最大寸法は150mmとなっている。150mmつーたら握りこぶしよりデッカイよね。そんな大きな石が混ざってもガッツリ混ぜられるそのミキサーは……

「IHI DAM」
ダムコンクリート作るミキサーだからDAMですよ(^q^)♪ 見学者一同「おぉぉ~ダムだぁ~ww」と思いっきり反応があった場所でもあったw

更に奥には調査のために取り寄せられた各地のダムのコンクリートが……。

宇連ダムのコンクリート。他のものに比べたら細い資料だ。

早明浦ダムのコンクリート。手前は圧力かけられて破壊されたもの。

青蓮寺ダムのコンクリート。色々調査された結果なのかちょびっとだけ。貴重~(^q^)

宇連ダム(訪問記)・青蓮寺ダム(訪問記)は今年訪問していて記憶に新しいダムなので、コンクリート眺めながら訪問した時のことを思い出したりなどしていたw また行きたいなぁ~w

■見学3:フィルダム実験棟

続いて案内頂いたのは、フィルダム実験棟。ロックフィルダムやアースダムについて、色々な試験・実験を行っているところだ。
実験棟の周辺にはカバーがかけられた山が沢山あった。各地のダムの骨材をストックしているそうだ。


沢山の土のうの山w 袋には何処のダムのどんな資材なのかが書かれていた。「あそこの袋に書かれている”MSO”は味噌川ダムですね~」と説明いただき、去年訪れた味噌川ダム(訪問記)を思い出したりしていた(*ノω・*)テヘ

ロックフィルダムで使われる材料について説明を受ける。目の前に並ぶコア材・フィルター材・ロック材に思わず「うおぉ欲しいぃぃ~」とヨダレが出そうになる私(痛)。実際に徳山ダムで使われている材料を出して頂いているそうだ。まだ徳山ダム、行ったことがないので行ってみたいなぁ~♪

そして目の前にコア材が入ったトレイが現れた。「それぞれある割合で水分を加えています。実際に触って貰って、どちらが適切な割合か当ててみてください」と言われ、早速触らせて頂いた。
……が、多少水分の違いはあるんだろうなぁとは思うものの、大きな差が感じられない私/(^o^)\ 「何年も触ってると、もう、一握りするだけで「あ、イイネ」ってのが分かるようになりますよ~♪」と話されて、経験値の違いを目の当たりにしたのであったw

ここで色々な配分を試された資材が十分耐えられるものであるかどうか、試験を行う。現地と全く同じ打設等は行えないので、計算の上で同等の圧力等の負荷をかけたりして作った資材にどんな変化が起きるか試験しているそうだ。
ここでは「動的三軸試験」という耐震性の実験を行っていて、ちょうど前日に行った試験の試料があります~てことで見せて頂いた。試料をラバー素材でカバーして、試験機に入れて地震の力を与えた結果がこの写真。


次に案内された設備に一同「オオッw」天井まで伸びる沢山のパイプ、ずらっと並ぶハンドル達。フィルター材の試験を行う設備で、資材の通水状況を調査するそうだ。
足下には今後試験に使われるのであろう石材が水の中で試験を待っていたよヽ(=´▽`=)ノ

阪神大震災・中越地震・東日本大震災で度々目にすることになった「液状化現象」。これについても調査が行われているそうだ。

さっき見た動的三軸試験装置よりはかなりコンパクトな、静的三軸試験装置。調査する資材が小さい場合は、こちらの試験装置を使って試験・実験が行われているそうだ。

見学に来た私達のために、液状化現象のシミュレーションモデルを用意してくださっていた。液状化現象が起こる土地のモデルに揺れを与えると……重いものは沈み、地中にあった軽いものは飛び出してきた。

咄嗟に携帯取り出して撮影したのでクオリティはアレですが、その時の動画がこちらです、どうぞ~ヽ(=´▽`=)ノ

液状化現象についての調査に使われている試験装置等も見せて頂いた。先ほどの試験機材より更に小さい試料を使うための機器みたい。色々試験・実験を重ねて頂いて、液状化に対して先手を打って行けるといいなぁ。

圧密試験装置。土の圧密試験を行うことで、地盤沈下の予測ができるんだそうだ。一般的に圧密試験につかう試料は直径60mmのものを使うそうだが、ここはダムの地盤調査等を行うため、直径150mmの大きな試料での試験が出来るようになっている、特別な試験機を導入しているそうだ。

以上で、設備の見学は終了。最初に案内された会議室へ戻った。

■講演

それぞれのグループが見学から戻ってきて、休憩を挟んだあと、記念講演としてダム愛好家の星野夕陽さんによる高水管理のお話、水資源機構の職員さんによる低水管理についてお話を頂いた。
高水(こうすい・たかみず)とは洪水のこと。それに対し、低水(ていすい)は常時流れている水…最低限必要な水のことをさす。

高水管理のお話では「台風18号におけるダムの防災操作」と題し、平成25年の台風18号に伴う淀川水系の日吉ダム・天ヶ瀬ダム・瀬田川洗堰の働きや、木津川水系の5ダム(高山ダム・布目ダム・室生ダム・比奈知ダム・青蓮寺ダム)の連携操作等も紹介された。
この台風は元々予測されていたルートより、実際に通ったルートがかなりずれて進んでいったことで、想定よりも激しい降雨を受けることになる地域が関西地方を中心に発生した。
ニュース等でも日吉ダムの様子や、渡月橋の映像等流れていたので、どんな活躍をしたかとか詳しいことまではわからなくても、目に留まった方もいるかもしれない。
急激な降雨に伴う、集水エリアからの流入を予測し、下流エリアへの放流量を調節する……といった洪水調節のお仕事は、自分の受け持ちエリアだけでなく、周囲のダムの流入・放流状況等も判断し、連携して対応することで、下流への被害を抑えることに貢献していたんだな、ということを改めて学ぶことができた。

低水管理のお話では、「利根川の低水管理 H25の渇水を振り返って」と題し、この夏の渇水での日々の水量の確保・調節についてお話いただいた。群馬・埼玉のダムから浄水施設までの間に発生している水利権の多さに改めてビックリ。利根川水系には日々どれだけの水が必要なのか、時期により変化する水の需要に対してきめ細かなコントロールが行われている、ということを学ぶことができた。

ダムの話になると、ついついだばぁ~ヽ(=´▽`=)ノ~っっと洪水調節の話に目が行ってしまいがちなのだが、色々な目的で求められる水を、年中安定して供給するために、日々必要な水量を調査・確保してくれていることも知っておかないといけないなぁ~と改めて思ったのであった。

■意見交換会

講演の後は、各グループに分かれての意見交換会。どないして意見交換をするのかな~と思ったら、各グループのテーブルに模造紙と付箋紙が配られた。

「ダムや堰・水路について、みなさんはどんな情報を求めていますか?思いつく限り色々書き出してください!(制限時間つき!w)

普段から色々思ってることあるつもりでいるけど、いざ「言ってみぃ!」となると頭真っ白になる私www ちょこちょこ思いついたことを付箋紙に書いてぺたり。しばらくあーでもないこーでもないと言いつつ書きだして、ふと他のグループの様子を眺めたら、模造紙に付箋紙びっしり!!Σ(゚∀゚ノ)ノマジデー!!
アタシ、まだまだダム愛好家なんて名乗れるレベルじゃないわ……みなさんラベル…じゃないレベルが違うわ……( ゚д゚)ポカーン。
……と、身の程をよく理解できるイベントになりました/(^o^)\。

■おみやげと感想

お土産に、徳山ダムのコア材を頂く事ができた。\(^o^)/やったー♪ 
帰宅して写真撮って喜んでたら、夫に「何で土見て喜んでんの?」と言われ「土とはなんだ土とはー!!ヾ(*`Д´*)ノ"」とタコ殴りにしたろーかと思いましたが、そこは大人なのでグッと堪え、ロックフィルダムの構造について説明しようとしたら「わかった、わかったから(;´д`)」って制止されました、ちぇー。

資材、選べるようにと沢山ご用意頂いていたようなので、出来ればコア材・フィルター材・ロック材の三点セットで得られると、こども達に説明しやすかったかなーて欲張りオバサンは思ったりした。いやまぁ、我が家のこども達は、常々私に強制連行されてダムの資料館でロックフィルダムについても聞かされているので、夫と違い「あーロックフィルダムの中の土だー!」と即座に反応していましたけどもww
またこのような機会があれば是非とも参加させて頂いてお分け頂けると嬉しいなーて思ったり(@ ̄ρ ̄@)←おばちゃん、ヨダレ、ヨダレ

一般向けとしては総合技術センターでの初めての施設見学会ということで、職員の皆様も大変試行錯誤いただいていたようで、あちこちでお気遣いを感じ感動しっぱなしだった。
こちらは施設の敷地内に足を踏み入れただけで浮かれてる訳だが、職員さんからすると、何でこんな物で嬉しいの?というところもあったようで、私(達?)の反応に驚いていらっしゃったりしたのも個人的には面白かった。
今後も定期的に開催して貰えると嬉しいな。職員の皆様、充実した時間を過ごさせていただき、ありがとうございました!!


Location: 独立行政法人水資源機構総合技術センター試験場

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